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10月1日最低賃金改定に伴う、保育園の注意点

厚生労働省より、全国の最低賃金の答申の発表がありました。
この金額が確定と考えてよく、適用は2021年10月~となります。
全国で1時間当たり30円前後、最低賃金が上昇しますのでいまから準備が必要です。
≪参照HP:厚生労働省8月報道、広報資料より≫『令和3年度 地域別最低賃金 答申状況』
※最低賃金は施設の場所(労働保険番号を取得している管轄の労基署)がある都道府県の金額となります。

 

【最低賃金の適用期間】

2021年10月1日~となります。給与計算との関係でいくと
・月末締め翌〇日支給→10月の勤務分について、11月の賃金支払いから適用となります。
・15日締め月末支給→9月16日~9月30日の分と10月1日~10月15日の分で、後者が適用になりますが、多くの法人では9月16日~賃金改定をするようです。

 

【時給だけでなく月給にも適用】

たとえば東京(現在の最低賃金は1013円)で考えますと、10月1日より1041円となります。
ここで、保育補助等で月160時間勤務、月額16万5千円の賃金の方がいた場合、時間単価は165000円÷160時間=1031円となり、1041円を割り込んでしまいます。

このように、月額であっても時間単価を算出し、その単価が最低賃金を上回っている必要があります。

 

【賃金テーブルの変更の確認】

たとえば東京の場合、いままでの最低賃金が1013円だったこともあり、未経験の保育補助者等の賃金テーブルの最下限を1020円に設定していたパターンは多いのではないでしょうか。
その場合、最低でも1041円に昇給しなければなりませんが、1円単位で時給設定していないことも多く、1050円を最下限と設定する法人も多いと考えます。

そうなると、もともと保育士有資格者の最下限の時給を1050円に設定していた場合には、この部分を昇給することになり…といったことを考えると、賃金テーブル維持のために全体をベースアップする必要が出てまいります。

 

【労働条件通知書の再発行】

時給又は月給の変更は労働条件の変更にあたりますので、労働条件通知書の再発行が必要です。

 

【扶養枠との関係】

扶養枠内で年収を130万円(月収ベースで108333円)未満に抑えたい希望のパート職員の方については、労働時間の見直しの検討が必要かもしれません。

たとえば大阪府ですと最低賃金が992円(現在は964円)と改定になり、
108333円÷992円=109時間が月の上限労働時間数となります。

964円の現在と比較しますと、130万円以内の扶養枠で納めようとする場合、3時間程度月の労働時間を抑制する必要があります。

最低賃金の上昇傾向が続く限り、扶養枠調整等の難易度が上がります。

しかし、これを機会に根本的にパート社員の労働時間をしっかり振り分ける(扶養枠内の方は雇用保険加入未満レベル/社保加入未満レベルにしっかり抑える。130万円の扶養枠を超える方には積極的に社保加入を促す等)の準備を始めてもよいかもしれません。

 

【求人の時給(月給)見直し】

賃金テーブル等を変更した場合、または最低賃金に合わせて時給を見直しした場合には、10月1日以降の求人についても修正をお願いします。
ハローワークの求人や、民間の求人サイトについてはチェックが入りますが、園独自で作る貼り紙やチラシについて特に注意が必要です。

 

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