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業務改善を進めたいけど、どうしたらいいの?

業務改善を進めたいけど、どうしたらいいの?というお問合せをよく頂きます。

(文書に下線が引いてあるものはクリック&詳細閲覧が可能です)

「書類仕事は園児が帰ったあといつも残業時間で行う」「持ち帰り仕事が恒常的になっている」「休憩を取ることができない」「職員間で保育について話し合う時間がない」「交替できる先生がいなくて有給休暇が取りづらい」「職員が疲れきっている」「みんなイライラして雰囲気が悪い」「離職する職員が多い」「主体的な保育とはいえない」

このようなお悩みはありませんか?いくつか当てはまる方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 サービス残業や休憩・休暇が取れていないことは、法律面はもちろん、保育業界特有のバーンアウト(燃え尽き症候群)の問題にもつながります。(バーンアウトとは、それまで熱心に仕事に邁進していた人が、突然やる気を失ってしまうことをいいます)保育所保育指針等の改訂にともない、保育内容は明確化されましたが、保育者にはより高度な専門性が求められるようになりました。「働きがい」のある職場である一方、業務負担や職務上感じるストレスも大きいのではないでしょうか。保育者の業務は一般の事務職と比べて業務範囲が広く複雑で身体的にも精神的にも負担が大きいことが指摘されており、バーンアウトに陥りやすい業種です。

人間形成の土台となる乳幼児期のこども達と関わる保育者こそ、身体的にも精神的にも健康な状態で働く必要があります

 また、令和4年12月に行われた「保育所等における虐待等の不適切な保育への対応等に関する実態調査」をうけて、令和5年5月にこども家庭庁より「虐待等の未然防止に向けた保育現場の負担軽減と巡回支援の強化について」が出されました。ここにも、虐待等を未然に防止するには、保育士等の負担を軽減する取り組みが必要であり、指導計画や園児の記録に関する書類等の見直し、働き方の見直し、業務内容の改善について記載されています。虐待や不適切な保育を防止し、保育の質の向上図っていくには、保育現場の負担軽減は必須の取り組みとなります。※参照:「虐待等の未然防止に向けた保育現場の負担軽減と巡回支援の強化について」

 保育現場の負担を軽減するには、「職員の人手が足りない」「もっと職員を増やして欲しい」という声もあるかと思います。保育所保育指針にあるような保育をするには、今の職員数では足りないのが現状です。国も、配置基準の見直しや処遇改善の動きも出ています。

 園側も採用活動はしているものの、なかなか人が集まらず、苦労されているというご相談が非常に多いです。また、採用しても半年、1年足らずで辞めてしまい、なかなか職員が定着しない場合もあります。適切な職員人数を確保し、職員に長く働いてもらうには、やはり「働きやすい職場」に変わっていく必要があります。少しでも園で取り組める業務改善を進めていきましょう。

しかし、「業務改善を進めたいけど、どう進めていいのかわからない…」

そう思われている方も多いのではないでしょうか。

令和3年3月に厚生労働省より「保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドライン」が出されました。このガイドラインには、業務改善の考え方や業務改善を進めるためのステップ、課題に対するアプローチや事例が掲載されています。

一部動画で解説しておりますので、是非ご覧頂ければと思います。

業務改善を進めるための6つのステップ

STEP1 取り組むための事前準備をしよう(プロジェクトチームをつくる)

STEP2 自園の業務の実態を把握しよう(課題の洗い出し)

STEP3 保育の質向上につながる改善のためのアプローチを検討しよう

STEP4 導入、実施に向けたアクションプランを策定しよう(中長期プラン)

STEP5 園全体で方針やアクションプラン、具体的な方策を共有し実践

STEP6 アプローチ、方策や取り組み状況を振り返りアクションプランを見直そう

 動画はこちら ↓↓↓

 

業務改善を進めるための4つの課題とアプローチ

❶「ICTの活用」    園内や保護者との情報共有、写真を用いて保育を記録し、発信する、登降園・出退勤の管理にICTを用いる

❷「保育補助者の活用」 業務分担の検討・役割の明確化、写真などによる作業手順の「見える化」、業務表の作成

❸「記録・書類業務の見直し・工夫」 計画や児童の記録に関する書類の見直し

❹「働き方の見直し」  保育士等の業務内容をタイムマネジメントする、会議の工夫、「ムリ」「ムダ」「ムラ」をリストアップする、ノンコンタクトタイムの確保

 動画はこちら ↓↓↓

 また、令和4年3月には厚生労働省より「業務改善実践に向けた事例集」が出ております。ガイドラインの内容について、実際の保育園等の取組事例が紹介されており、よりわかりやすく記載されています。

是非、ガイドライン事例集(1章~5章6章~7章事例詳細①事例詳細②事例詳細③を参考に、自園でも業務改善に取組まれてみてください。

最後に業務改善にあたって大切にしたいことをお伝えします

1.業務負担の感じ方は人それぞれですが、誰にとっても働きやすい職場になるよう考えましょう

2.業務改善には時間がかかります。目の前のことだけでなく、長い期間を考えて仕事がしやすくなるよう考えましょう。

3.業務改善は幼児教育・保育の質を向上させるために行うものであり、ただ単に業務効率化をすることを目的にしないよう注意しましょう。

4.どんな小さなことでも業務改善に繋がる一歩です。職員一人一人の意見を大切にしましょう。

5.プロジェクトチームで話し合ったことは、他の職員にも共有し、園全体で取り組む課題として職員の意思統一を図りましょう。

6.業務改善を進めるにあたって、労働時間や休憩など労働ルールを正しく理解しておきましょう。

 弊社の顧問先様にも、ここ数年で業務改善、働き方改革に取り組まれている保育園・幼稚園・こども園さんが数多くいらっしゃいます。はじめは、「ただでさえ、忙しいのに業務を見直す時間がない」「今までのやり方を変えることに抵抗がある」といった職員さんの声もありました。業務改善を進めるには相当なエネルギーがいりますし、時間もかかります。プロジュエクトチームだけでなく、職員全員で取り組む必要があります。

 試行錯誤しながらも進める中で、業務を洗い出す際に職員全員の意見を聞いたところ、「こういった意見を聞いてもらう機会がなかったので嬉しい」「少しずつ時間に関する意識が変わってきた」「できるだけ早く帰ろうという雰囲気になってきた」「少しだけと休憩が取れて身体が楽になった」と、業務改善を進めることで変化が生まれてきています。

業務改善の取り組みは、大変ですが、必ずプラスの成果が出ると信じて、まずは【はじめの一歩】を踏み出してみてください。

保育イノベーションでは、正しい情報を提供し、適切な労務管理を通して「保育の質の向上」を目指す皆さまを応援しています。

動画解説やコラムも多数ご用意しておりますので、是非ご活用ください。

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