【こども性暴力防止法連載コラム】第3回:民間教育保育等事業者のための「認定取得」の要件・書類・スケジュール
こども性暴力防止法に関するコラム第3弾をお届けします。
今回のテーマは、企業主導型保育園や認可外保育園などの民間教育保育等事業者が犯罪事実確認制度を利用するために避けては通れない手続き、「認定」の取得についてです。
「認定」は、国から「この事業者はこどもを安心して預けられる安全管理体制が整っている」とのお墨付きをもらうプロセスです。要件と準備すべき書類、そしてスケジュールをまとめました。
第3回:民間教育保育等事業者のための「認定取得」の要件・書類・スケジュール
民間教育保育等事業者が性犯罪歴を確認(犯罪事実確認)するためには、こども家庭庁の認定を受け、学校設置者等と同等の措置を講じる体制を整える必要があります。
1. 認定を受けるための主要な基準(要件)
認定を受けるためには、以下の体制を自社で構築しなければなりません。
- 犯罪事実確認の体制: 責任者を選任し、計画的に照会を行う体制があること。
- 早期把握と相談の措置: 日常的な観察やアンケートの実施、内部・外部の相談窓口を設置していること。
- 対処規程の作成: 性暴力の疑いが生じた際の「調査」「保護・支援」「防止措置(配置転換等)」のルール「児童対象性暴力等対処規程」を定めていること。
- 研修の実施: 全ての対象従事者に、こどもの権利や不適切な行為に関する研修を受講させていること。
- 厳格な情報管理: 犯歴情報を適切に扱うための「情報管理規程」を定め、管理責任者を置いていること。
詳しくはガイドラインP74~81をご参照ください。
なお、企業主導型保育園などで、「施設の設置者(助成決定企業)」と、実際の運営を任されている「事業運営者(委託を受けた保育事業者)」が異なる場合は、両者が協力して一つの認定を受ける必要があります(共同認定)。本来、認定は「事業者ごと」が原則ですが、このケースでは両者が「連名」で申請を行い、協力して安全を守る体制を整えることとなります。
2. 申請に必要な書類
手続は、オンライン申請(こども性暴力防止法関連システム)が原則となります。主な添付書類は以下の通りです。
| 書類の種類 | 必要書類の例 |
|---|---|
| 事業者の証明 | 定款、登記事項証明書、住民票の写し(個人の場合)など。 |
| 事業の実態 | 事業開始届出書の写し、パンフレット、WebサイトのURLなど。 |
| 社内規定類 | 児童対象性暴力等対処規程、情報管理規程。 |
| 誓約書等 | 犯罪事実確認を適切に実施する旨の誓約書、欠格事由に該当しない旨の誓約書、役員名簿。 |
| 体制の証明 | 責任者の氏名や、研修の受講を証する書類など。 |
詳しくはガイドラインP89~94をご参照ください。
3. 「児童対象性暴力等対処規程」作成の4つのポイント
規程には、以下の事項を具体的に書き込む必要があります。
① 「不適切な行為」の具体化
ガイドラインに沿って、「何が不適切か」を自社の事業に合わせて具体的に定めます。
※就業規則に記載する定義と合わせておきましょう。
② 疑いが生じた際の「調査・報告ルート」
性暴力の疑いや申告があった際、誰が、どのように調査を行うかを明文化します。被害児童を傷つけないよう、初期調査は最小限にし、速やかに警察や児童相談所等と連携する体制を記載します。
③ 被害児童の「保護と支援」
事実確認中であっても、即座に加害疑いのあるスタッフを接触させない(配置転換・自宅待機等)措置や、保護者への説明、こどもの心のケアについての対応方針を定めます。
④ 従事者への「防止措置(人事対応)」
調査の結果、事実が認められた場合や、照会で「該当あり」と出た場合に「対象業務(こどもと接する業務)に従事させない」ことを明記します。
※就業規則の懲戒規定と整合性を取っておくことが、労働紛争を防ぐ鍵となります。
ポイント
・共同認定の場合は、民間教育保育等事業者と事業運営者間での役割分担に関する記載も必要です。
・児童対象性暴力防止規程は、こども家庭庁よりひな型が出ておりますので、参考に作成してください。
4. 認定までのスケジュール感
認定手続きは、施行日の令和8年12月25日以降に行うことができます。事前準備や認定手続きには時間を要しますので、早い段階から準備をしておきましょう。
- 事前準備(今から): 社内規定の作成、責任者の選任、対象従業員の特定。
- ID取得: 申請に必要な「GビズID」を取得する。
- 認定申請: システムを通じて申請。標準処理期間は1か月〜2か月程度です。
- 認定・公表: 認定されると、こども家庭庁のHPに掲載され、「認定事業者マーク」の使用が可能になります。
- DBS照会開始: 認定後、はじめて従業員の性犯罪歴を照会できるようになります。

具体的な手続き方法については、今後別途のマニュアルにおいて案内があります。
ワンポイント・アドバイス
・民間教育保育等事業者の皆様は、認定申請には1事業ごとに30,000円(オンラインの場合)の手数料がかかります。
・認定は「一度取れば終わり」ではありません。規程の内容を変更した場合には「変更届」が必要ですし、年に一度の「定期報告」も義務付けられます。
・「児童対象性暴力等対処規程」は、民間教育保育等事業者が認定を取得する際に必ず作成し遵守する必要があるものです。法的には、学校設置者等に作成の義務はありませんが、児童対象性暴力等の防止措置を定めた大事なルールになりますので、学校設置者等においても作成しておかれることをお勧め致します。
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