こども性暴力防止法の概要と法人が対応すべきこと②~対応編~
こども性暴力防止法の概要と法人が対応すべきこと②~対応編~
2024年6月に「こども性暴力防止法」が成立し、2026年12月25日に施行される予定です。施行日は1年後ですが、法人は、2025年の今から制度の内容を理解し、職員への周知と就業規則等の整備が必要になります。このコラム「②~対応編~」では、法人が対応すべき内容をまとめました。
目次
1.犯罪事実確認について
事業者は、こどもと接する業務の従事者について、雇入れや配置転換の際、過去の性犯罪歴の確認が必要となります。また、現在雇用されている職員についても確認が必要であり、5年ごとに再確認も行う必要があります。
| 対象者 | 犯罪事実確認の期限 |
|---|---|
| ① 新規採用・配置転換 | 内定・内示等から従事開始までの間に確認 |
| ② 義務事業の現職者 | 法施行から3年以内に確認 |
| ③ 認定事業の現職者 | 認定から1年以内に確認 |
| ④ 一度確認を受けた者 | 5年ごとに再確認 |
新規採用の場合は、“内定を出してから”犯罪事実の確認を行うことができます。内定前には行うことができません。そのため、急な欠員等により内定を出してすぐに勤務開始となる場合は、従事開始から3か月以内に確認を行ってください。(いとま特例:例外的に業務開始後も確認を猶予する仕組み)
また、確認が済むまでは、原則としてこどもと該当職員を1対1にさせない等の措置を取る必要があります。
2.雇用管理上の措置と事前に必要な対応
犯罪事実確認を行い、性犯罪歴があることが分かった場合、性暴力のおそれがあると判断される従事者については、防止措置として、配置転換や業務範囲の限定、内定取消し、懲戒処分などの雇用管理上の措置が想定されます。
ただし、上記雇用管理上の措置が有効と認められるためには、法に基づいて行う犯罪事実確認とは別に、採用過程で性犯罪歴が無いことを書面等で確認したり、就業規則等を整備したり、従事者への事前の伝達等を行っておくことが重要です。
対応例
① 募集要項の採用条件に性犯罪歴がないこと等を明記しておく
② 誓約書・履歴書等で性犯罪歴が無いことを明示的に確認する
③ 内定通知書等に「重要な経歴の詐称」を内定取消事由として明記しておく
④ 就業規則以下の内容を定めておく
- 対象従事者の範囲
- 性暴力や不適切な行為の範囲と禁止
- 犯罪事実確認の手続きに応じる義務
- 内定取消事由
- 試用期間の解約事由
- 懲戒事由に以下の項目を追記
- 刑罰法規の各規定に違反する行為が認められた場合
- 企業秩序を乱した場合
- 正当な理由なく、業務上の指示・命令に従わなかったとき
- 重要な経歴の詐称
- こどもの性暴力防止法上の『児童対象性暴力等』に該当する行為を行ったとき
- 児童対象性暴力等につながる不適切な行為を行ったとき
3.従事者向けリーフレットと今後の対応
こども家庭庁では、「従事者向けリーフレット」も作成しています。まずは、法施行後、こどもと接する業務に従事する者については、その事業者が法に基づく犯罪事実確認を行い、特定性犯罪前科の有無を確認することが必要となること。また、特定性犯罪前科が確認された従事者については、児童対象性暴力等のおそれがあるとの判断の下、こどもと接する業務に就くことができなくなることを、職員に周知しておきましょう。
今後、こども家庭庁では、ガイドラインやマニュアルを作成する予定です。また、情報管理規程のひな型も提供予定とのことです。来年度の採用に向けて、募集要項や就業規則の整備も早めに対応しておきましょう。
新たな情報が入りましたら、随時、保育イノベーションでも情報発信を致します。
こども性暴力防止法の概要と法人が対応すべきこと①~概要編~のコラムもご参照ください。

