COLUMNS コラム

妊娠中の女性労働者への対応

ここ最近、顧問先の保育園では、妊娠出産に関する制度の普及もあり産前産後休業、育児休業を取り、職場復帰される方が多くいらっしゃいます。

産前産後休業に入るのは、出産前6週間(双子などの場合は、14週間)ですので、それまで身体や体調の著しい変化に対応しながら通常勤務をするのは負担も大きいかと思います。
特に、保育士の仕事は、園児を抱っこしたり、重い物を運んだり、激しく動いたりと体力を使う仕事が多いです。
無理をして体に影響を及ぼさないよう、仕事内容を軽めにするなどの配慮が必要になってきます。

1.医師からの指導事項を守るための措置

男女雇用機会均等法第13条では、以下の内容が定められています。

「妊娠中及び出産後1年以内の女性労働者が、健康診査等を受け、医師等から指導を受けた場合は、その女性労働者が、その指導を守ることができるようにするために、事業主は、勤務時間の変更や勤務の軽減等の措置を講じなければなりません。」

事業主が講じなければならない措置は、次のとおりです。
・妊娠中の通勤緩和
・妊娠中の休憩に関する措置
・妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置
・新型コロナウイルス感染症に関する措置(令和2年5月7日~令和4年1月31日まで)

(1)妊娠中の通勤緩和
交通機関の混雑による苦痛は、つわりの悪化や流産・早産等につながるおそれがあります。

ラッシュアワーの混雑を避けて通勤することができるように、必要に応じて時差通勤、勤務時間の短縮、交通手段、通勤経路の変更などの措置を講じましょう。
また、保育士の場合は、早番・遅番の免除などシフトの配慮も必要になるケースがあります。

(2)妊娠中の休憩に関する措置
「つわりや腰痛に配慮して休憩を分割してとれるようにする」、
「休養や補食ができるよう、休憩時間を長くする」、
「回数を増やす」等休憩に関して必要な措置を講じましょう。

 なお、休憩は、母性健康管理の観点から通常の休憩と別に設けられたものです。通常の休憩より長くとったことで労働時間が短くなることは問題ありません。
また、回数を増やすのは通常の休憩にプラスして与えた休憩に対して行ってください。

(3)妊娠中または出産後の症状などに対応する措置
作業の制限、勤務時間の短縮、休業等の必要な措置を講ずるものとして、保育園で考えられる措置としては、
妊産婦の症状に応じて「散歩や運動会などの行事参加について配慮する」、
「事務作業については在宅勤務を認める」、
「お泊り保育(深夜勤務)について出勤を免除する」などです。
これらを参考に医師の指導のもと、必要な対応をお願いします。

(4)新型コロナウイルス感染症に関する措置
新型コロナウイルス感染症が拡大する中で新たに規定された措置です。

妊娠中の女性労働者が、保健指導・健康診査を受けた結果、その作業等における新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、医師等から指導を受け、それを事業主に申し出た場合、事業主は、この指導に基づいて必要な措置を講じなければなりません。

必要な措置について、具体的には、園児・保護者と対面で接触する機会の少ない事務作業への転換や、在宅勤務、休業、時差通勤など通勤の緩和、勤務時間の短縮などが上げられます。詳しくは、以下のQ&Aをご参照ください。この措置は、現時点では令和2年5月7日~令和4年1月31日までが対象となっています。

《参照》厚生労働省HP:新型コロナウィルス感染症について/職場における妊娠中の女性労働者等への配慮について/
『新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の取扱いについて(Q&A)』

これらの措置は、あくまでも医師等から指導を受けた場合に限り事業主の義務となります。
そのため全ての妊婦である職員に対応しなければならないわけではありません。妊娠中の体調は人それぞれ異なるため、個別の状況を見て対応してください。
 なお、妊娠中の女性労働者は、時間外、休日労働、深夜業の制限等については、主治医等からの指導がなくても請求できます(労働基準法第66条)

2.母性健康管理指導事項連絡カードの利用

仕事を持つ妊産婦の方が医師等から通勤緩和や休憩などの指導を受けた場合、その指導内容が事業主の方に的確に伝えられるようにするため、「母性健康管理指導事項連絡カード」があります。
妊婦さんは、医師等からの指導事項を的確に事業主に伝えるために、このカードを記入してもらい、事業主に提出してください。
事業主は、このカードの記載内容に応じた適切な措置を講じる必要があります。

《参照》厚生労働省HP:労働者の方へ/女性労働者の母性健康管理のために/『母性健康管理指導事項連絡カードの活用方法について』

3.給与等の取扱いについて

前述の措置により、休業する場合や、休憩を長めに取ったり回数を増したりして、勤務時間を短縮する場合は、その分の給与について減額することは問題ありません。(ノーワークノーペイ)。ただし、本人の希望で休業を有給休暇の取得とすることは可能です。
役職や担任を持っている方については、働き方や役職を見直す場合も出てくるかと思います。本人の意に反して、一方的に役職を降りるよう促すことは絶対に避けてください。しかし、例えば負担軽減措置を講ずることでその役職の業務を行うことができなくなるのであれば、しっかり本人と相談し、意向を確認した上で、役職を外すのであれば、その役職に応じた役職手当を外すことは可能です。
つわり(妊娠悪阻)の症状がひどい場合や切迫流産など、医師等が労務不能であると判断し、休業している場合については、健康保険の「傷病手当金」の対象になります。
また、新型コロナウイルス感染症に関する措置として、妊娠中の職員が休業する場合、有給の休暇制度を整備して与えた企業に対する助成金があります。

詳しくは、保育イノベーションコラム『新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置に係る助成金』をご参照ください。

 保育園は女性が多い職場ですので、今後も職員の妊娠出産は増えてくるかと思います。在宅勤務で行える仕事の洗い出しや、短時間正職員、限定正職員など多様な働き方の導入、妊娠出産、育児を見据えたキャリアパスの作成など、この機会にご検討してみてはいかがでしょうか。
保育イノベーションでは、お客様のお悩みに寄り添ったサポートをしてまいります。

お気軽にご連絡ください。

 

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