COLUMNS コラム

休業補償って何ですか?

先日、園児のけんかの仲裁に駆け出した際に、遊具にぶつかり、職員が腕を骨折。休業1ヶ月の業務災害が起こりました。
事業主は、休業補償を行う必要があると聞きましたが、休業補償とはどう支払えばいいのでしょうか。
また、休業手当とは違うのでしょうか。


1.休業補償と休業手当

業務災害により労働者が休業する場合は、事業主は労働基準法76条により休業補償を行わなければいけません。
労災保険の休業補償給付が行われる場合は、労働基準法上の補償責任を免れます。
しかし、休業の最初の3日間(待期期間)については、労災保険から給付されないため、労働基準法で定める平均賃金の60%を事業主が直接労働者に支払わなければいけません。これが休業補償です。
なお、通勤災害の場合は、休業補償の必要はありません。

非常に似ていますが、休業手当は、意味合いが全く異なります。
休業手当は、新型コロナウィルスの影響で耳にする機会が多くなったかと思います。
休業手当は、労働基準法26条により、会社に責任のある理由で労働者を休業させた場合は、労働者の最低限の生活の保障を図るため、会社は休業期間中について、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければなりません。
新型コロナウィルスにより園児や職員が罹患した場合の休園は、会社に責任のある理由とは言えませんが、自治体等の補助金が減額されることはあまりないため、休業手当による給与の保障をする園が多いかと思います。

このように、休業補償と休業手当は、別のものだということを認識しておいてください。

2.休業補償の計算方法

それでは、休業補償はどのように計算するのでしょうか。
休業補償は、平均賃金の60%を支払わなければなりません。
では、平均賃金とは一体なんでしょうか。

【原則の場合】

平均賃金とは、原則として、労災事故が発生した日(賃金締切日が定められているときは、その直前の賃金締切日)の直前3ヶ月間にその労働者に対して支払われた金額の総額を、その期間の歴日数で割った、一日あたりの賃金額のことです。
(賃金には、臨時的に支払われた賃金、賞与など3ヶ月を超える期間ごとに支払われた賃金は含まれません)

月給者を例に考えてみましょう。
労災事故発生日 8月5日  月末締め、翌月25日払の場合
  5月1日~5月31日 31日  240,000円
  6月1日~6月30日 30日  240,000円
  7月1日~7月31日 31日  240,000円
 3ヶ月の合計金額 720,000円 ÷ 3ヶ月の合計歴日数 92日 =7,826円08銭
 7,826円08銭 × 60% = 4,695円65銭
この場合、休業補償1日の金額は、4,695円65銭となります。

【最低保障が適用される場合】

賃金の一部又は全部が日給制、時間給制又は出来高給制の場合は、最低保障が設けられています。
労災事故が発生した日(賃金締切日が定められているときは、その直前の賃金締切日)の直前3ヶ月間にその労働者に対して支払われた金額の総額を労働日数で割って、さらに60%をかけた金額が平均賃金の最低保障額となります。

原則の計算方法で算出した場合と、最低保障の計算方法で算出した金額を比べ、金額が高い方が平均賃金となります。

時給者を例に考えてみましょう。
  5月1日~5月31日 31日 10日勤務   96,000円
  6月1日~6月30日 30日 12日勤務  115,200円
  7月1日~7月31日 31日 11日勤務  105,600円
●原則の場合
 3ヶ月の合計金額 316,800円 ÷ 3ヶ月の合計歴日数 92日 =3,443円47銭
●最低保障の場合
 3ヶ月の合計金額 316,800円 ÷ 3ヶ月の合計歴日数 33日 × 60% =5,760円
 この場合、最低保障の方が高いため、平均賃金は5,760円。
 5,760円 × 60% = 3,456円
この場合、休業補償1日の金額は、3,456円となります。

3.休業補償の支払方法

休業補償は、休業の最初の3日間について支払います。
では、休業はどのようにカウントするのでしょうか。

例えば、8月5日(木)の業務中に労災事故が発生し、そのまま終業時間まで勤務。その後、病院へ行った場合。
8月5日は休業日にはカウントしません。8月6日(金)・7日(土)・8日(日)の3日間について休業補償を支払う必要があります。
土曜日、日曜日が公休日だったとしても、休業補償を支払う必要があることにご注意ください。

もし、8月5日(木)午前11時に労災事故が発生し、その後、すぐに帰宅(休業)した場合は、8月5日も休業日にカウントします。
8月5日(木)・6日(金)・7日(土)の3日間について休業補償を支払う必要があります。
この場合、8月5日は、2時間分勤務している場合、休業補償額は以下のように計算します。
 1日当たりの平均賃金が、7826円08銭とします。
 1時間当たりの単価が1500円の場合、2時間分ですので、3,000円
 平均賃金と当該労働に対して支払われる賃金との差額の60%を休業補償として支払う必要があります。(労働基準法施行規則38条)
  7,826円08銭 - 3,000円 =4,826円08銭
  4,826円08銭 × 60% =2,895円64銭
  8月5日の休業補償額は、2,895円64銭となります。

8月5日の所定労働時間後、残業時間中に労災事故が発生した場合も、8月5日は休業日のカウントに含めませんので、8月6日(金)・7日(土)・8日(日)の3日間に対して、休業補償が必要です。

なお、休業補償は平均賃金の60%のため実際に計算してみると金額はだいぶ少なくなります。
労働者が年次有給休暇の使用を希望する場合は、年次有給休暇で処理することも可能です。

ただし、公休日については、年次有給休暇を使用できませんので、労働日については、有給休暇、公休日について休業補償として組み合わせて支払うケースもあります。

労災保険の療養補償給付や休業補償給付の請求は行っていても、待期期間3日間の休業補償の支払を忘れているという場合も見受けられますので、事業主の皆様はお気をつけください。

一覧へ戻る