【こども性暴力防止法連載コラム】第1回:あなたの事業所は対象?「対象事業者」と「確認が必要な人」の定義について
いよいよ令和8年(2026年)12月25日から、「こども性暴力防止法」が施行されます。この法律は、教育や保育の現場で働く方の性犯罪歴を確認し、こどもたちを性暴力から守るための仕組みです。
しかし、事業者様にとっては「うちは対象なの?」「誰の分を調べればいいの?」と、実務上の疑問も多いと思います。そこで今回から8回にわたり、社労士の視点で実務のポイントを解説するコラムをお届けします。
第1回:あなたの事業所は対象?「対象事業者」と「確認が必要な人」の定義
第1回目は、まず制度の入り口である「どの事業者が対象か」と「どの従事者が対象か」を整理していきましょう。
1. 「学校設置者等」と「民間教育保育等事業者」の違い
この法律では、対象となる事業者が大きく2つのグループに分けられています。
① 学校設置者等(義務対象)
法律によって、性犯罪歴の確認(犯罪事実確認)が義務付けられる事業者です。
- 主な対象: 幼稚園、小・中・高等学校、特別支援学校、高等専門学校、専修学校(高等課程)。
- 福祉施設: 保育所、認定こども園、児童養護施設、障害児入所施設、放課後等デイサービス(指定事業)など。これらの事業者は、認可等を受けて公的に運営されているため、最初から義務の対象となります。
② 民間教育保育等事業者(任意・認定対象)
法律上の明確な定義がない以下の要件を満たす事業者が、民間教育事業となります。
- 事業:児童等に対して技芸又は知識の教授を行うこと
- 期間:標準的な修業期間が6か月以上であること。
- 形態:児童等に対して対面による指導を行うこと。
- 場所:事業者が用意する場所(教室、オフィス、キャンプ地など)で指導を行うこと。
- 人数:教授等を行う従事者が3人以上であること
- 主な対象: 企業主導型保育園、認可外保育所、ベビーシッター(認可外保育)、学習塾、放課後児童健全育成事業(放課後子供教室等)、スポーツ・ダンス等の習い事教室など。
- ポイント: こども家庭庁の「認定」を受けることで、はじめて性犯罪歴の確認が可能になります。認定を受けると「認定事業者マーク」を表示でき、保護者からの信頼が高まるメリットがあります。
2. 性犯罪歴を確認すべき「対象者」の3要件
事業所が対象であっても、全員の履歴を調べるわけではありません。対象となるのは、「支配性・継続性・閉鎖性」の3つの要件をすべて満たす業務に就く従事者(教員等・教育保育等従事者)です。
| 要件 | 具体的な解釈 |
| 支配性 | 指導やコミュニケーションを通じて、こどもに対して優越的な立場に立つ機会がある。 |
| 継続性 | 日常的、定期的、または反復してこどもと接する機会がある(1回限りのイベント等は除外)。 |
| 閉鎖性 | 第3者の目が届かない状況(個室、オンラインの個別指導、送迎バス内など)でこどもと接する可能性がある。 |
3. 注意が必要!「一部が対象」となり得る職種
職種名だけで一律に決まるわけではなく、「実際の働き方」で判断します。特に判断に迷いやすいのが、事務職や調理員、送迎ドライバーの方々です。
- 事務職員:
- 対象になる例: 事務がメインだが、保護者との面談中に別室でこどもの面倒を見るなど、1対1で接することが想定される場合。
- 対象外の例: 電話対応や書類整理のみで、こどもとの接触がほとんどない場合。
- 調理員:
- 対象になる例: 食育指導、給食の準備・片付けなどの際に会話等を通じて、他の職員の同席がない環境でこどもと接触することが想定される場合。
- 対象外の例: 調理業務のみを行い、児童等との接触が想定されない場合。
- バス運転手:
- 対象になる例: 添乗員がおらず、最後に降りる子と車内で2人きりになる可能性がある場合。
- 対象外の例: 常に添乗員が同乗し、3者の目があることが前提の運用をしている場合。
- ボランティアや実習生、スポットワーク:
- たとえ無償であっても、定期的に活動し、こどもと1対1になる可能性がある場合は、この法律の対象となります。
- スポットワーク等の単発の従事者も業務内容に照らして教員等に該当する者は対象となります。
ワンポイント・アドバイス
実務上、最も重要なのは「職種ごとに業務内容を精査し、誰を確認対象にするかをあらかじめ特定しておくこと」です。まずは自社の職員の働き方を「支配性・継続性・閉鎖性」のフィルターにかけて整理してみましょう。また、犯罪事実確認の対象となる職員については、就業規則にも記載しておく必要があります。
セミナーのご案内
保育イノベーションでは、「こども性暴力防止法&カスハラ対策セミナー」を開催致します。ご興味のある法人様は、是非ご参加ください。
Peatix:https://workinnovation20260311.peatix.com
HP:https://hoiku-innovation.com/contents/seminar/20260311-2/


