給与・賞与のどこに「処遇Ⅰ」が入っているか説明できますか
制度設計のご支援をさせていただく際に確認させていただくのが、『処遇Ⅰはどのように支給されていますか』という質問です。
「基本給の中のどの部分?」
「処遇Ⅰでの昇給と定期昇給の違いの区別は?」
「賞与のどの部分が処遇Ⅰ?」
皆さまの園ではスムーズに回答できますでしょうか??
令和2年の処遇改善等加算制度改正により、「新規事由あり」「新規事由なし」の概念が出来てから丸4年が経過しました。
その間、行政機関の理解も進み、徐々に様々な自治体で実績報告書の確認も細部まで行われるようになってきています。
処遇改善の中でも、
・処遇Ⅱは任命された人に月額で支給するという要件
・処遇Ⅲは毎月支給の要件
があるため、給与のどこに処遇ⅡおよびⅢが入っているのか項目別で分けられており、残額を賞与で支給する場合も個人支給額を計算して支給されている園がほとんどだと思います。
一方で、処遇Ⅰについては、対象者、支給時期、支給金額の要綱で定められた具体的で明確な要件がほとんどないため、実績報告書でなんとなく支給できているようにみえているけれど、
実際には「誰にいついくら支給しているのか?」が分からなくなってしまっている園も多いと感じます。
処遇Ⅰの賃金改善要件分による処遇改善の方法は下記のように定められています。
- 方針をあらかじめ職員に周知
- 改善を行う賃金の項目を特定
- 内訳等を明確に管理
参照:令和2年10月内閣府子ども・子育て本部「施設型給付費等に係る処遇改善等加算Ⅰおよび処遇改善等加算Ⅱについて」
もう少し詳しくは
- 賃金改善の対象項目以外の賃金項目についても、賃金水準を低下させてはならないこと
- 処遇改善等加算は、定期昇給とは別の上乗せとして賃金改善を行うこと
- 賃金改善の対象となる賃金項目は、手当や一時金ではなく、基本給とすることが望ましい
【賃金改善方法の例示】
・給与規程や給与表等の見直しによる基本給の改善
・定期昇給すべき号給の改善(定期昇給による昇給を1号給→2号給の昇給に改善) など
- 加算残額は、翌年度すみやかにその全額を一時金等により支払い、賃金の改善に充てること
明確に周知、項目特定、管理している例としては下記のようなパターンがあります。
- 賞与を自社財源3.5か月分を支給し、プラス1か月分を処遇Ⅰとして、合計で4.5か月分支給している
- 給与で毎月「処遇Ⅰ手当」として月額で支給している
- 基本給をベースアップし、基本給のうち〇〇円を処遇Ⅰとしている など
本来は上記について賃金規程に記載があるべきですが、明確に支給されていても記載がない、ということもあります。
弊所では、処遇改善等加算Ⅰを含めた賃金制度設計や、賃金規程改定のご支援をしています。
現状の分析から、適切な配分のアドバイスまでご支援していますので、お困りごとがございましたら、ぜひご相談ください。